親がいるうちは、あたり前のこととして行ってきた日常生活でのサポートを、「親なきあと」にはいったいだれが担ってくれるのか、不安でたまりません。
A・新しい取り組みが徐々に増えて来ています
横浜市には「障害者後見支援制度」というものがあります。2010年10月から4つの区を対象に始まり、16年度中には横浜市の全区に実施対象が広がる予定です。地域において確実に効果をあげ、評価されている証拠だと思います。
支援の内容ですが、日常の見まもりを希望する障害者(とその家族)、将来の生活について相談したい障害者(とその家族)を対象に、障害のある人を支援している人や、地域住民の方などが、定期的な訪問をしたり、将来の希望や漠然とした不安などの相談をお受けしたり、その人の願う地域での暮らしが実現できる方法をいっしょに考えます。
さらに2014年度から、「東京都知的障害者育成会」が、「権利擁護支援センター」という仕組みを立ち上げました。こちらは行政としてとり組んでいる横浜と違い、「手をつなぐ親の会」が母体となってできた組織です。
こちらの内容は、「親がいなくなったらだれがこの子の世話を?」「資産をこの子に残したいけれど?」「地域でずっと安心して暮らすには?」などの相談を親の会で受けつけて、関係機関や「みまもり隊」という支援者と協力しながら、本人のバックアップをしようという組織です。2016年は23区の中で、「手をつなぐ親の会」の会員数の多い足立区と世田谷区、大田区、新宿区、練馬区の5つの区をモデルに実施しています。
このように、従来の法制度では拾いきれないニーズを、個々の自治体や親の会など任意団体がサービス主体として担う動きも始まっています。さらに障害者総合支援法の改正では、施設で暮らしていた障害者が地域で一人暮らしをする場合に支援する「自立生活援助」というサービスが2018年施行で始まることになっています。さまざまなサービスの広がりに期待したいですね。