法人後見の最新情報

障害者施設を運営する社会福祉法人や保護者の会から、講演会に呼んでいただく機会が多くなりました。いろいろな場所でお話をするときには、講演会場での質疑応答やアンケートなどで保護者の方々の声を聞くように心がけているのですが、思いのほか成年後見制度についての質問がたくさん寄せられ、関心の高さを実感します。

現在の成年後見制度は、高齢者には向いているかもしれませんが、障害者には使いづらい制度だと考えています。特に年の若い障害者の場合は、支援する側の成年後見人の方が年上のことが多く、途中で後見人を交代せざるを得ないことが想定されるので、継続的な支援が期待できないということが大きな懸念材料です。

そこで、障害者支援に寄与する可能性があるのが法人後見です。

法人であれば、たとえ支援者が交代する事態になっても、障害者である被後見人の情報は法人内にストックされているので、次の支援者が被後見人の特性を知ったうえで後見事務が行えます。特に身上監護の面で、有効な手段だと思います。

ただ、実際に後見業務を担える適当な法人がないというのが大きなネックでした。保護者の気持ちとしては、障害者本人が通う施設などを運営する社会福祉法人が、本人の特性をよくわかっているので、そこにお願いしたいと思うことが多いのですが、これは障害者と施設の関係が、利用料の収受関係のため、利益相反関係となり認められません。

そのため、親が自分たちで、法人後見を行うNPO法人を設立する事例が出てきています。

私はぜひこの事例を、後見の担い手が見つからないで悩んでいる皆さんにもご紹介したいと考えて、実際にNPO法人をいくつか訪問して、お話を伺ってきました。もちろんさまざまなご苦労を抱えていらっしゃいますが、ここで頑張ることによって、自分たちがいなくなったあとも子どもが安心して生活できる、という思いで法人運営をしていらっしゃいました。

今回から、親たちが中心となって法人後見をしている事例をいくつかご紹介していきたいと思います。