成年後見制度と、似たようなもので日常生活自立支援事業というものがあると聞きました。これはどちらを選べばいいのでしょう? あるいは、両方一緒に使えるものなのでしょうか?
A・本人の判断能力の状況で使える制度が決まります
この2つのいちばん違う点は、日常生活自立支援事業には契約締結する判断能力が必要で、判断能力が不十分な場合は成年後見制度を利用する、ということです。そのため、原則的には同時に両方を利用するということはなく、判断能力の状況で使える制度が決まります。
また、日常生活自立支援事業では支援する内容が限られていますが、成年後見では、代理権、同意権、取消権など、とても大きな力のある権利が支援者に与えられます。ちょっとおおざっぱに言うと、日常生活自立支援事業は成年後見の簡易版、という感じです。
日常生活自立支援事業の基本サービスは福祉サービスの利用援助、オプションとして日常的な金銭管理サービス、年金証書や通帳などの書類等預かりサービスがあります。
それぞれの具体的な内容ですが、福祉サービスの利用援助では、利用するまたはやめるための手続き、利用料支払いの手続き、福祉サービスについての苦情解決制度を利用する手続き、その他一連の援助を行います。
日常的な金銭管理サービスでは、年金および福祉手当等の受けとりに必要な手続き、税金や社会保険料、公共料金、医療費を支払う手続き、日常生活に必要な預金の払い戻し、預け入れなどの手続きを支援します。
書類等預かりサービスでは、身の回りにおいて紛失したり人に渡したりといったことがないように、年金証書、通帳、権利証、契約書類、保険証書、実印・銀行印などを金融機関の貸金庫で預かります。
これらの支援の方法は、利用者自らが各種手続きを行えるように相談に乗ったり、窓口に同行したり、本人の代わりに窓口などで手続きや支払いをしたり、契約書を結んだうえで代理人として金融機関の払い戻し手続きなどを行ったりします。