横浜市による障害者後見支援制度というものがあります。この制度は2010年10月より4つの区を対象に始まり、2014年3月現在で横浜市の18行政区のうち11区まで実施対象が広がっています。地域において確実に効果をあげ、評価されている証拠だと思います。
支援の内容ですが、横浜市のホームページによると、日常の見守りを希望する障害者(とその家族)、将来の生活について相談したい障害者(とその家族)を対象に、
① 障害のある人を支援している人や、地域住民の方などが、制度に登録した人を日々の生活の中で気にかけたり定期的な訪問をしながら、日常生活を見まもります。
② 障害のある人とその家族の、将来の希望や漠然とした不安などの相談をお受けします
③ 生涯にわたり障害のある人によりそいながら、その人の願う地域での暮らしが実現できる方法を一緒に考えます。
となっています。
また、できないこととしては下記のことをあげています。
① 身体介助や家事援助などの直接支援は行いません。
② 金銭や大切な書類の管理は行いません。
③ 入院時の身元保証や手術などでの医療同意行為は行いません。
成年後見制度が始まったとき、多くの人は知的障害者の「親なきあと」の解決策になる、と考えました。しかし実際には、この制度は認知症などの高齢者を対象にしていて、知的障害者には向いていない、ということがわかってきました。もちろん成年後見がフィットして、実際に利用している知的障害者はいます。しかし現実的にはそれは今のところほんの一部で、制度発足から14年経過しても知的障害者の利用はさほど増えていない、ということがその証拠でしょう。
成年後見制度には財産管理とともに身上監護が役割としてありますが、こちらはどうしても付随的なものになっています。さまざまな福祉サービスには、在宅時、移動時、施設におけるケアなどシーン別のケアはあっても、本人の日常生活を見守る仕組みがありません。
地域でグループホーム生活や一人暮らしをしている障害者にとって、または将来的に地域生活を考えている障害者とその家族にとって、具体的にこれが困っているということよりも、漠然とした不安、いつ何が起こるかわからないからどうしたらいいか、といった不安の方が大きいのではないかと思います。そういった不安に応える施策として、この日常的なみまもりである横浜の施策は、大変利用者のニーズに合ったものではないかと思います。